ネット発の創作ミステリーは枯れてしまったのか?

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2000年代のインターネットの片隅から生まれた創作ミステリーは、多くの人々を魅了し、時には社会現象にまで発展しました。

「八尺様」「きさらぎ駅」――2ちゃんねるの“洒落にならない怖い話”に代表されるネットミステリーは、創作と現実の境界が曖昧な不気味さで多くの人を惹きつけました。
海外では「スレンダーマン」のような怪異も登場し、インターネットを通じて都市伝説は瞬く間に拡散されていきました。

しかし、2020年代も半ばを過ぎた現在、あの頃のようなネット発のミステリーはあまり見かけなくなったように感じます。果たして、創作ミステリーは本当に“枯れて”しまったのでしょうか?


ネットミステリーの黄金時代

インターネット黎明期から2000年代後半にかけて、匿名掲示板や個人サイトを中心に数多くのミステリーが誕生しました。

  • 誰かの実体験風に語られる怪談
  • 断片的な情報から想像を掻き立てるスレッド
  • 現在進行形で展開されるリアルタイム性
  • 偽装された日記や事件記録

その“あやしさ”や“信憑性のなさ”こそがリアリティを生み出し、読み手を強く惹きつけていたのです。現実とフィクションが交錯するスリルは、ネットという舞台ならではの魅力でした。


なぜ「新作」が出てこなくなったのか?

SNS時代の拡散構造の変化

Twitter(現X)やTikTokなど、現代のSNSは「短くて視覚的に映えるコンテンツ」に最適化されています。じわじわと真相が明かされる長文の怪談やスレッド形式のミステリーは、バズを生みにくい構造になっているのです。

フィクションに“見えすぎる”時代

読者の目が肥えたことに加え、AI生成コンテンツの登場により、フィクションと見抜かれてしまうスピードが格段に速くなりました。結果として、「もしかしたら本当かもしれない」と思わせる絶妙な曖昧さが受け入れられにくくなっています。

プラットフォームの変化と規制

匿名掲示板文化の縮小とともに、自由な創作の場も減少しました。さらにフェイクニュース対策やモラル重視の風潮により、真偽不明な話を気軽に投稿・拡散することへのハードルも高くなっています。


本当に“枯れた”のか?視点を変えると…

では、ネット発のミステリーは本当に終わってしまったのでしょうか?
実は、形を変えて今も息づいているのです。

動画と映像演出

  • YouTubeやTikTokでは、「実際にあったかのようなフェイクドキュメンタリー」や「心霊スポットでの謎の出来事」など、視覚に訴える形での創作が展開されています。
  • ARG(代替現実ゲーム)のように、現実とネットをまたぐ参加型ストーリーも一部で人気を集めています。

海外では続くネットミステリー

海外では今もRedditやCreepypasta系のフォーラムで、新たなミステリーが定期的に投稿されています。創作の熱が冷めたわけではなく、「日本語圏での減少」が目立っているに過ぎないのかもしれません。


これからの創作ミステリーに求められるもの

現代でも、ネット上で創作ミステリーを再び根付かせることは十分に可能です。

  • 現代のプラットフォームに合った表現(短尺動画、画像+テキスト、AI音声など)
  • 読者や視聴者が“参加”できる構造
  • リアルの事件や社会問題と絡めた現実味のあるテーマ

こうした要素を取り入れた「うまくやった」作品が登場すれば、それをきっかけに、新たなネットミステリーの潮流が再び生まれるかもしれません。


まとめ

ネット発の創作ミステリーは、かつてのようなスタイルでは確かに減少しました。しかしそれは「衰退」ではなく、「時代に合わせて形を変え続けている」と言えるのではないでしょうか。

私たちが次に出会う不思議な話は、誰かの巧妙なフィクションかもしれません。
もしかしたら、あなたの投稿から物語が始まるかもしれませんね。


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