「把(わ)」って何?そうめんにまつわる豆知識まとめ

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夏の食卓を彩るそうめん。その涼やかな喉越しは、多くの方々に愛されています。

ところで、そうめんを数える際に用いられる「把(わ)」という単位には、どのような由来があるかご存じでしょうか。

この記事では、そうめんの数え方の背景から、その歴史や製法にまつわる興味深い事実まで、そうめんの持つ奥深い魅力を解説します。


そうめんが「把」と数えられる理由

そうめんを数える単位である「把(わ)」は、そうめんが細い麺を束ねた状態で取り扱われることに由来します。

元々、「把」は「手で握った束」を表す言葉で、そこから「束ねたもの」を数える助数詞として使われるようになりました。そうめんは、製造および流通の過程において、折れやすい性質を考慮し、一定量が束ねられ、帯で巻かれるのが一般的です。

この「束ねられた状態」が「一把」と称され、それがそうめんの数え方として定着しました。

「把」で数えられるその他の品目

そうめん以外にも、「把」で数えられる品目はいくつか存在します。これらに共通するのは、いずれも「束ねられたもの」や「まとまった量」を示す点です。

  • 薪(まき): 束ねられた薪は「一把」と数えられます。
  • 葉物野菜: ほうれん草など、市場で販売される際に束ねられた葉物野菜を「一把」と表現することがあります。
  • : 弓道などの射芸において、特定の数の矢をまとめた単位として「把」が用いられることがあります。

そうめんの日は7月7日──その由来とは?

毎年7月7日は「そうめんの日」とされています。この日が選ばれた理由は、七夕とそうめんの歴史的な結びつきに由来します。

奈良時代、七夕には中国から伝わった「索餅(さくべい)」というお菓子を供える風習がありました。索餅は、やがて「索麺(さくめん)」、さらに「そうめん」へと変化していったといわれています。

この由来から七夕の日にそうめんを食べる風習が定着し、現在では業界団体によって「七夕の行事食であることを広く知ってもらう」ことを目的に、7月7日が「そうめんの日」として制定されました。

七夕の短冊に願いを込めつつ、そうめんを味わうのも風情ある夏の過ごし方と言えるでしょう。


そうめんにまつわる雑学

そうめんには、その歴史や製法に根差した多様な雑学が存在します。いくつかご紹介いたします。

1. そうめんの起源は古代中国の「索餅」

そうめんのルーツは、奈良時代に中国から伝来したとされる「索餅(さくべい)」という唐菓子に行き着きます。索餅は小麦粉を練って縄のようにしたもので、油で揚げたり煮込んだりして食されていたようです。

「素麺」という漢字表記は、「索」の字を崩して書いた形が「素」に似ていたことに由来するという説も存在します。また、7月7日が「そうめんの日」とされるのは、平安時代に索餅が七夕の供物として献上されていたことに由来すると言われています。

2. 「手延べ」と「機械麺」

そうめんには、主に手延べそうめん機械麺の2種類があります。

手延べそうめんは、伝統的な製法に基づき、職人の手によって丹念に生地を細く引き延ばして作られます。油を用いて熟成させながら何度も延ばすことで、独特のコシと滑らかな舌触りが生まれます。その品質の高さは、多くの食通に評価されています。

機械麺は、近代的な製麺機を使って製造されるそうめんを指します。工程は自動化されており、大量生産が可能なため、比較的安価に手に入るのが魅力です。

3. そうめん・ひやむぎ・うどんの明確な区分

そうめん、ひやむぎ、うどんは見た目が類似していますが、麺の太さによって明確に区別されています。

日本の品質規格であるJAS規格(日本農林規格)では、以下のように定義されています。

  • そうめん: 直径1.3mm未満
  • ひやむぎ: 直径1.3mm以上1.7mm未満
  • うどん: 直径1.7mm以上

4. そうめんは「熟成」する食品:「厄(やく)」とは

そうめんは、ワインなどと同様に熟成が進む食品として知られています。そうめんを貯蔵庫で梅雨時期を越させることを「厄(やく)」と称します。

この「厄」を経たそうめんは、麺に含まれる水分が徐々に抜け、熟成が進むことでコシがより一層強くなり、茹でのびしにくくなると言われています。

製造から2回目の梅雨を越したそうめんは「古物(ひねもの)」、3回目を越したものは「大古物(おおひねもの)」と呼ばれ、その熟成による風味の深まりから珍重されます。

5. 日本各地の「ご当地そうめん」

日本各地には、その地域特有の製法や風味を持つ、個性豊かなそうめんが存在します。

  • 三輪そうめん(奈良県): 日本のそうめん発祥の地とされ、極細ながらも強いコシが特長です。
  • 播州そうめん(兵庫県): 「揖保乃糸(いぼのいと)」のブランドで広く知られ、そうめんの生産量において国内最大級を誇ります。
  • 小豆島そうめん(香川県): 特産のごま油を練り込んだり表面に塗ったりすることで、もちもちとした食感とごまの風味が楽しめます。
  • 半田そうめん(徳島県): 一般的なそうめんよりも太く、その太さゆえの強いコシと風味が特徴です。
  • 大門そうめん(富山県): 半乾きの麺を丸髷(まるまげ)のように丸めて乾燥させる、独特の形状が目を引きます。

これらの多様なそうめんを味わい比べることで、新たな発見があるかもしれません。


そうめんを美味しく保つための保存方法

そうめんは熟成する食品であり、適切な方法で保存すれば長期にわたってその風味を保つことができます。

  • 保存場所: 直射日光の当たらない、涼しく暗い場所での保存が推奨されます。
  • 匂い移りの防止: そうめんは匂いを吸収しやすい性質を持つため、石鹸や洗剤など、香りの強いものの近くは避けてください。
  • 湿度の管理: 高温多湿を避け、湿気の少ない環境で保管することが重要です。

密閉できる容器や袋に入れて保存することで、品質を良好に保つことができます。


まとめ

そうめんは夏の定番食品にとどまらず、起源や製法、数え方にまつわる文化まで多様な側面を持つ奥深い食品です。

次にそうめんを手に取るときは、ぜひその背景にある物語や違いにも目を向けてみてください。いつもの一皿が、もっと味わい深いものになるかもしれません。


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