過去のこの週、世の中では何が起きていたのでしょうか?20年前・15年前・10年前・5年前の出来事を振り返ってみます。日々のニュースと照らし合わせて、過去の出来事がどのように現在につながっているのか見えてくるかもしれません。
2005年(平成17年)6月22日〜6月28日の出来事
【国内】国内初のH5N2型の鳥インフルエンザ
2005年6月26日、茨城県阿見町の養鶏場で、日本国内で初めてH5N2型の低病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されました。これは鶏の健康診断の一環で抗体検査を行った際に判明したもので、感染した鶏に重篤な症状や死亡は見られませんでしたが、H5型は突然変異で高病原性化する恐れがあるため、当局は約2万羽の殺処分や周辺農場への消毒・監視を行うなどの対策を実施しました。
人への感染例は報告されていませんが、前年(2004年)のH5N1型の流行も背景にあり、国内の監視体制がさらに強化されるきっかけとなりました。
2010年(平成22年)6月22日〜6月28日の出来事
【国内】高速道路無料化社会実験
2010年6月28日、日本政府は「高速道路無料化」の本格導入に向けた効果検証を目的として、全国約50路線・約1,600kmを対象に無料化の社会実験を開始しました。
地方部の中・短距離路線を中心に選ばれ、ETCの有無にかかわらず通行料金を無料とし、交通量や環境への影響、地域経済への波及効果などを調査しました。
実験には「観光や物流の活性化に寄与した」との評価がある一方で、渋滞の悪化や公共交通機関への打撃、道路維持費の財源問題といった課題も浮上し、2011年の東日本大震災を契機に計画は見直され、最終的に無料化の恒久実施には至りませんでした。
2015年(平成27年)6月22日〜6月28日の出来事
【国際】イスラム過激派組織「ISIL」が関わるテロが各地で発生
2015年6月26日、イスラム教のラマダン期間中にあたるこの日、世界各地でほぼ同時に発生した一連のテロ攻撃は、「2015年ラマダン攻撃」として一括りにされています。報道では「血の金曜日事件」や「黒い金曜日事件」とも呼ばれ、各地で多数の犠牲者を出したこの攻撃は、宗教的行事の期間を狙った暴力として国際的に大きな衝撃を与えました。
チュニジアのスースではリゾート地を銃撃した犯人により欧州からの観光客38人が死亡、ISILが犯行を認めました。
同日、クウェートではシーア派モスクで自爆テロがあり27人が死亡。
フランス・リヨン郊外では工場で斬首事件が発生し、犯人はISILへの共感を示していました。
さらにシリア北部のクルド人地域コバニでは200人以上が殺害され、ソマリアでもアルシャバーブによる襲撃で数十人の兵士が犠牲になりました。
これらの事件は同時多発的で、宗教的行事を逆手にとった暴力行為として国際社会に衝撃を与え、各国のテロ対策強化と宗教的寛容性の在り方が改めて問われる契機となりました。
【国際】地球観測衛星Sentinel‑2A打ち上げ成功
2015年6月23日に打ち上げられたSentinel‑2Aは、ヨーロッパのCopernicusプログラムに属する地球観測衛星で、ベガロケットで仏領ギアナのクールー宇宙センターから軌道に投入されました。
マルチスペクトルカメラを搭載し、地表や沿岸を10〜60メートルの解像度で撮影。約5日ごとに同じ場所を観測し、農業や森林管理、水質調査、災害対応などに活用されています。
スタート直後から多波長10 m観測と高頻度の再訪性により、異常気象や環境変化の早期検知に役立っており、近年は地中海の海洋ごみ調査やアフリカの森林監視、氷河の退縮追跡など国際的な研究に活用が広がっています。
現在は姉妹衛星(Sentinel‑2B/2C)と連携し、10日ごとの周期で観測を継続しています。ミッション寿命は当初7年とされていましたが運用延長が続いており、将来的には2Bと共に、2C/2Dに役割を置き換えられる予定です。
2020年(令和2年)6月22日〜6月28日の出来事
【国際】Apple、自社開発プロセッサー転換を発表
2020年6月23日(日本時間)、Appleは開発者向けイベントWWDCで、MacシリーズのプロセッサをIntel製から自社開発の「Apple Silicon(ARMベース)」へ切り替えると発表しました。
これは約14年ぶりの大転換で、同年末から移行を始め、2年以内に全製品を切り替える計画です。開発者向けには「Developer Transition Kit」としてA12Z Bionicを搭載したMac mini型の開発機を提供。従来のIntel用アプリは「Rosetta 2」により変換実行が可能で、iPhone・iPadアプリもMac上で動作します。
Appleはこの移行により、性能向上と電力効率の改善、デバイス間の連携強化を目指しており、ハードとソフトの統合による一体型エコシステムを進化させる大きな一歩となりました。
【国内】東京ミネルヴァ法律事務所が破産
2020年6月24日、過払い金返還請求を大々的に広告していた「弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所」が東京地裁から破産手続開始決定を受けました。
負債総額は約51億円にのぼり、全国で数万人とされる依頼者に返還すべき過払い金や預り金を弁済できない事態となりました。経営の実態は広告代理店「ニューステーション」が実質的に支配しており、法律事務所でありながら経済的・業務的な独立性を欠く“非弁提携”状態にありました。
破産管財人の調査では、少なくとも約30億円の依頼者預り金が不適切に流用されたとされ、依頼者保護義務違反が重大な問題として浮上しました。その後、東京弁護士会は代表弁護士と法人を除名処分とし、2024年には管財人による回収や返還が進められましたが、弁護士法人としての信頼を著しく損なう事件として、弁護士業界全体に衝撃を与えました。
この事件は、非弁行為の監視強化や預り金管理制度の見直しといった、制度的課題の再検討を促す契機ともなりました。
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