2000年前後生まれの若者を指す「Z世代」。
SNSやニュースですっかり定着しましたが、「なぜ“Z”なのか?」と聞かれると、意外と答えられない人が多いのではないでしょうか。
実はこの“Z”の裏側には、意外な歴史と、日本独自の「ある事情」が隠れていることをご存じでしょうか?
“Z”はどこから来たのか?
理由は驚くほどシンプルです。
X → Y → Z の「アルファベット順」から来ています。
「なんだ、単純な話か」と思われるかもしれませんが、実は、最初の「X」にこそ深い意味が込められていたのです。
始まりの「X世代」には“明確な意味があった”
アメリカにおける世代の呼称も「ロストジェネレーション」や「ベビーブーマー」など世相を反映したものでした。
流れを変えたのは、1960年代〜70年代後半生まれを指す「ジェネレーションX(X世代)」です。
1990年代初頭、カナダの作家ダグラス・クープランドが『Generation X』という小説を出版し、世界的な大ヒットとなりました。この“X”は、数学で使われる「未知数」を意味しています。
当時の若者は従来の価値観に当てはまらない「未知の存在」とされていたため、
未知の世代 = Generation X
と名付けられました。つまり当初は、アルファベットを順番に使うつもりなど全くなかったのです。
「Y」「Z」は“Xの次”として自然に生まれた
しかし、X世代という言葉が流行しすぎたため、その後の世代をどう呼ぶかという議論になった際、メディアや研究者たちは安直かつ合理的な方法を選びました。
- Xの次だから → Y世代(ミレニアル世代)
- その次だから → Z世代
こうして、そのまま定着してしまったのです。
ここには、Xのような「未知数」といった象徴的な意味はほぼありません。「Xの次ならY、その次はZでいいだろう」という流れで決まったに過ぎないのです。
後付けの「Zの意味」は俗説に近い
Z世代が注目されるにつれ、まことしやかに語られるようになった以下のような説は、あとから考えられたイメージです。
- Z = Zero(ゼロからのデジタルネイティブ)
- Z = Zoom(オンライン世代)
- Z = Zigzag(自由で多様な価値観)
これらは上手な解釈ですが、本来の由来はやはり「X→Y→Zの順番」というシンプルなものです。
なぜ日本でも「Z世代」がすんなり定着したのか?
ここまでの話だと「なんだ、ただの記号か」で終わってしまいます。しかし日本では、「ただの記号であること」こそが、Z世代という言葉が歓迎された最大の理由だという説があります。
背景にあるのは、日本特有の「侮蔑的なレッテル貼り」の歴史です。
日本の世代名は歴史的に“評価語”だった
日本で使われてきた世代名は、往々にして大人たちからの「上から目線」や「ネガティブな評価」が含まれていました。
- バブル世代(派手、浪費家というイメージ)
- 就職氷河期世代(苦難を背負わされた被害者というニュアンス)
- ゆとり世代(努力不足、競争を知らないと決めつけられた)
- さとり世代(欲がない=消費しないことへの皮肉)
つまり日本では、世代名が「若者叩き」や「世代間の分断」になりやすい文化があったのです。当事者である若者たちは、勝手に貼られたそのネガティブなラベルを嫌っていました。
中立・記号・海外由来の“傷つかない”ラベル
そんな中、海外から入ってきた「Generation Z(Z世代)」という言葉は、日本の若者にとって非常に都合が良いものでした。
- 中立である(X, Y, Zという記号に意味はない)
- 英語由来でおしゃれ(国内の湿っぽい価値判断がない)
- 「ゆとり」「さとり」のような皮肉がない
SNS時代の日本の若者は、レッテル貼りより欧米型の「意味を持たない記号ラベル」が、自分たちを指す言葉として心地よく、すんなりと受け入れられたと分析されています。
マーケティング業界も、ネガティブな響きのある「さとり世代」などを使うより、フラットな「Z世代」と呼んだほうが若者にアプローチしやすかったため、一気に広まったのです。
Zの次は? → すでに「アルファ世代」が始まっている
ちなみに、Zでアルファベットが尽きてしまったため、次の世代(概ね2010年代〜2020年代中盤生まれ)はギリシャ文字の最初に戻り、
「Generation Alpha(アルファ世代)」
と呼ばれています。その次はベータ、ガンマ……となるのでしょうか。今後の命名も注目です。
まとめ
- Z世代の“Z”は「X→Y→Z」の順番で、あまり深い意味はない。
- X世代だけは「未知数」という象徴的な由来があった。
- 日本でZ世代が定着した背景には、「ゆとり」などの侮蔑的な世代名を避けるための“記号化”需要があった。
- ネガティブ要素を含まないZ世代という言葉は、マーケティングにも都合が良く、多用された。
「Z世代」という言葉を見かけたら、「ただのアルファベット順だけど、日本ではそれが逆に良かったんだな」と思い出してみてください。
しかし一方で、その振る舞いやメディアの取り上げ方などによって、若干ネガティブなニュアンスが混じることもあります。いまでは批判的文脈で使われる場合もあり、完全に中立評価とは言い切れなくなってしまいました。



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