過去のこの期間、世の中では何が起きていたのでしょうか?20年前・15年前・10年前・5年前の出来事を振り返ってみます。日々のニュースと照らし合わせて、過去の出来事がどのように現在につながっているのか見えてくるかもしれません。
2006年(平成18年)3月1日~3月10日の出来事
【国内】タカラとトミーの合併(タカラトミー誕生)
2006年3月1日、玩具メーカーのタカラとトミーが合併し、新会社タカラトミーが発足しました。日本の玩具業界における大規模再編として、大きな注目を集めた出来事でした。
タカラは1955年創業で、男児向け玩具に強みを持ち、代表的な商品としてはリカちゃんやトランスフォーマーなどがありました。一方、トミーは1924年創業と歴史が古く、トミカやプラレールといったロングセラー商品で知られていました。両社はそれぞれ異なる分野で強みを持ちながら、日本の玩具市場を支えてきました。
しかし2000年代に入ると、少子化の進行やゲーム・デジタル娯楽の普及により、玩具市場は縮小傾向にありました。また海外メーカーとの競争も激化し、単独では成長が難しくなっていました。こうした背景から、経営資源の統合による競争力強化を目的として、両社は経営統合に踏み切りました。
合併後は、ブランド力や販売網、開発力を統合することで事業基盤を強化し、国内外での展開を拡大しました。その後、タカラトミーは「ベイブレード」などのヒット商品を生み出し、グローバル展開を進める企業へと成長しました。この合併は、日本の玩具業界における「生き残りと進化」を象徴する出来事だったといえます。

【国際】第1回ワールド・ベースボール・クラシック開幕
2006年3月3日、野球の国際大会であるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開幕しました。これまでオリンピックや地域大会に限定されていた野球において、「真の世界一決定戦」を目指した初の大会として、歴史的な意義を持つ出来事でした。
この大会は、メジャーリーグベースボール(MLB)と選手会が主導し、国際野球連盟と連携して実現しました。背景には、サッカーのワールドカップのような世界的大会を野球にも創設したいという構想や、野球人気を世界的に拡大したいという狙いがありました。それまで野球はアメリカ、日本、中南米など一部地域に偏った競技であり、国際的な影響力の拡大が課題となっていました。
第1回大会の日本ラウンドは東京ドームで行われました。日本代表は王貞治監督のもと出場し、当初は判定問題などで苦戦しましたが、最終的には決勝でキューバを破り初代王者となりました。
この大会の成功により、WBCは継続開催される国際大会として定着し、野球の国際化を大きく前進させました。

2011年(平成23年)3月1日~3月10日の出来事
【国内】東日本大震災直前に発生していた「異常な前兆」
2011年3月7日から10日にかけて、東北地方の三陸沖では通常とは異なる規模と頻度の地震活動が続いていました。これらは後に、2011年3月11日に発生した東日本大震災の「前震(前兆的地震)」と位置づけられる重要な現象でした。
3月9日には、三陸沖でマグニチュード7.3の強い地震が発生しました。この地震により津波注意報も発表され、一部地域では軽微な被害も報告されました。当時は「やや大きな地震」として扱われていましたが、後から見れば巨大地震の前触れとなる極めて重要な予兆でした。さらにこの前後から、同じ海域を中心に震度1〜3程度の地震が断続的に発生し、明らかに地震活動が活発化していました。
この一連の地震活動の背景には、日本列島の下に沈み込む太平洋プレートと陸側のプレートとの境界に蓄積された巨大なひずみがありました。通常、プレート境界では小さな地震が繰り返されることでエネルギーが分散されますが、この時は逆に広い範囲で連動的に地震が発生し、最終的に巨大な破壊へとつながっていきました。特に3月9日の地震は、後の本震の震源域の一部が先に破壊された「前震」と考えられています。
また、気象庁は当時これらの地震を通常の活動の範囲内として観測・発表していましたが、これほど大規模な本震につながるとは予測できていませんでした。実際、日本の地震学においても「前震から巨大地震を予知すること」は極めて困難とされており、この事例はその限界を強く示すものとなりました。
そして3月11日14時46分、これらの前震活動の延長線上で、マグニチュード9.0という観測史上最大級の地震が発生しました。この本震は広範囲の海底を一気に破壊し、巨大津波を引き起こしました。結果として、死者・行方不明者2万人以上という未曾有の被害をもたらし、日本の防災史・社会構造・エネルギー政策にまで大きな影響を与えました。
その後の研究により、3月7日から10日にかけての地震活動は、単なる偶発的な揺れではなく「本震に至る準備過程」の一部であった可能性が高いとされています。この一連の現象は、巨大地震が突発的に発生するのではなく、段階的な破壊の積み重ねの末に起こることを示した重要な事例となりました。
この出来事は、「異常な前兆があったにもかかわらず、それを巨大災害として認識できなかった」という教訓を残しました。現在では、前震活動やスロースリップなどを含めた観測体制の強化が進められていますが、それでもなお完全な予知は難しいのが現実です。2011年3月上旬の地震活動は、自然災害の予測の限界と、防災の重要性を改めて突きつけた重要な出来事でした。

2016年(平成28年)3月1日~3月10日の出来事
【国際】ニュージーランド国旗の変更を巡る国民投票開始
2016年3月3日、ニュージーランドで国旗変更の是非を問う最終的な国民投票の郵送受付が開始されました。これは、イギリスの影響を残す現行旗か、シダの葉(シルバー・ファーン)を配した新デザインかを選択する、国家の象徴を巡る歴史的なプロセスでした。結果(3月24日発表)としては現行維持となりましたが、この3月上旬は「自分たちのアイデンティティ」が議論された2週間でした。
ニュージーランドの国旗は、イギリスの影響を色濃く残すデザイン(ユニオンジャック入り)であり、長年にわたり「独立国家としてのアイデンティティにふさわしいのか」という議論が続いていました。こうした背景から、当時の首相ジョン・キーの主導により、国旗変更の是非を問う国民投票が段階的に実施されました。
まず2015年に行われた第1回投票で、新たな国旗案の候補が選ばれ、その後2016年3月の最終投票で「現行の国旗」か「新デザイン」のどちらかが選ばれる形式となりました。しかし結果は、約56%が現行国旗の維持を支持し、変更案は否決されました。
この結果の背景には、歴史や伝統への愛着、変更コストへの懸念、そして新デザインへの賛否が分かれたことがありました。一方で、この国民投票は「国家の象徴を民主的に選択する」という試みとして評価され、国民的議論を喚起した点で意義のある出来事となりました。その後も国旗変更論は完全に消えたわけではありませんが、当面は現行国旗が維持されることとなりました。
【国際】北朝鮮問題の緊迫化と東アジア安全保障の不安定化
2016年3月上旬、朝鮮民主主義人民共和国を巡る一連の動きにより、東アジアの安全保障環境の緊張が一段と高まりました。この時期は、核・ミサイル問題を軸に国際社会との対立が一気に激化した転換点でした。
まず3月2日、国際連合安全保障理事会は、北朝鮮による核実験と長距離ミサイル発射を受けて、過去最大規模となる制裁決議2270を採択しました。この決議では、鉱物資源の輸出制限や金融取引の規制強化など、経済的圧力が大幅に強化されました。
しかし北朝鮮はこれに反発し、3月3日には弾道ミサイルを日本海に向けて発射しました。さらに3月9日には、核弾頭の小型化に成功したと主張し、核戦力の実用段階入りを示唆しました。これにより、核兵器の脅威が一段と現実味を帯びることとなりました。
こうした動きに対し、アメリカ合衆国と大韓民国は強く反発し、3月上旬から大規模な合同軍事演習(キー・リゾルブなど)を実施しました。この演習は北朝鮮に対する抑止力を示す目的でしたが、同時に北朝鮮側のさらなる反発を招き、緊張の連鎖を生む結果となりました。
この一連の出来事の背景には、北朝鮮が体制維持のために核・ミサイル開発を国家戦略の中核に据えていたことがあります。また、国際社会による制裁強化と、それに対抗する軍事的示威行動という「圧力と反発の悪循環」が続いていました。
その後も北朝鮮は核・ミサイル開発を継続し、2017年にはICBM級ミサイルの発射実験を行うなど、緊張はさらに高まりました。

2021年(令和3年)3月1日~3月10日の出来事
【国内】LINEとヤフーの経営統合と通信料金競争の激化
2021年3月1日、LINEとヤフー株式会社の経営統合が完了し、親会社であるZホールディングスのもとで国内最大級のITグループが誕生しました。この統合は、スマートフォン時代におけるデータ・広告・決済などの分野で競争力を高めることを目的としたもので、日本のIT業界再編を象徴する出来事でした。
背景には、GoogleやAmazonといった海外巨大IT企業の台頭があり、日本企業単独では対抗が難しくなっていた状況がありました。LINEは国内で圧倒的な利用者基盤を持つコミュニケーションアプリを軸に事業を展開し、ヤフーは検索や広告、ECサービスに強みを持っていました。両社が統合することで、ユーザーデータの活用やサービス連携を進め、総合的なデジタルプラットフォームの構築を目指しました。
一方、この時期は通信業界にも大きな変化が起きていました。菅義偉政権(当時)による携帯料金値下げの要請を受け、楽天グループが低価格の携帯料金プランを打ち出し、大手通信会社に対抗する姿勢を鮮明にしました。3月1日までにNTTドコモの「ahamo」、KDDIの「povo」、ソフトバンクの「LINEMO」の低価格プランの詳細が出揃い、日本の携帯料金は一気に引き下げられる「価格競争時代」に突入しました。
通信料金競争は消費者にとってメリットをもたらした一方、通信各社の収益構造にも大きな影響を与えました。この時期は、日本のデジタル産業と通信市場の構造が大きく変わる転換点となったといえます。

【国内】シン・エヴァンゲリオン劇場版 公開
2021年3月8日、アニメ映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が全国で公開されました。本作は、1995年に放送されたテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』から続くシリーズの完結編にあたり、約25年にわたる物語の終着点として社会的な注目を集めました。
エヴァンゲリオンは1990年代半ば、従来のロボットアニメの枠を超えた心理描写や宗教的モチーフ、難解なストーリー展開で若者文化に大きな影響を与えました。しかし1996年のテレビ版最終回は、内面描写を中心とした抽象的な演出で幕を閉じたため、視聴者の間で賛否が激しく分かれました。その反響を受けて1997年に公開された旧劇場版『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』は、より直接的かつ衝撃的な結末を描きましたが、こちらも賛否両論を巻き起こしました。
2007年からは「新劇場版」シリーズが始動し、『序』『破』『Q』と展開されましたが、最終章の完成までには長い年月を要しました。制作の遅れや社会状況の変化を経て、ついに公開された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』は、従来の物語に一つの明確な終止符を打つ内容となりました。公開直後から大きな反響を呼び、最終的には興行収入100億円を超えるヒットとなり、シリーズの集大成として商業的にも成功を収めました。
シリーズの生みの親である庵野秀明は、制作当時に深刻な精神的負担を抱えていたことを後年明かしています。この経験は、後にストーリーや碇シンジの心理描写にも大きく影響を与えたと言われています。
本作は、1990年代の閉塞感の中で生まれた物語が、四半世紀を経てどのような「結末」にたどり着くのかを示した作品でした。エヴァンゲリオンという文化現象の一区切りを告げる出来事として、日本アニメ史において重要な節目となりました。


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