サンフランシスコ湾に浮かぶ小さな島「アルカトラズ」。
ここは観光地として人気ですが、実はかなりディープな歴史を持つ“元・監獄島”です。
今回は、そんなアルカトラズ島の意外な過去から現在までをわかりやすくまとめました。
アルカトラズってどこ?どんな場所?
- アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ湾内
- 面積は約0.09km²(東京ドーム2個分ほど)
- もともとは軍の要塞 → 凶悪犯専門の連邦刑務所 → 現在は人気観光地
海に囲まれた孤島で、かつては“脱獄不可能の監獄”と呼ばれたほどの鉄壁ぶりでした。
今はフェリーで気軽に行ける人気スポットになっています。
軍の要塞 → 凶悪犯専門の連邦刑務所 |アルカトラズ刑務所
- 1850年:軍事拠点としてスタート
- 南北戦争の時期には捕虜の収容所に
- 1934年:アメリカ連邦政府が「最も厄介な囚人を集める場所」として刑務所に転用
- 1963年:3月21日に刑務所としては閉鎖
建物自体は軍事要塞をリノベーションしたもので、当時としてはとても堅牢な作りでした。
脱獄対策に全振りした監獄です。
有名囚人がズラリ。ギャング映画のモデルにも
- アル・カポネ:禁酒法時代のギャング王
- “マシンガン”ケリー:誘拐や強盗で悪名高い
- “バードマン”ストラウド:獄中で鳥類学の研究者に
などなど、囚人には悪名高い面々が揃ってました。
映画『アルカトラズからの脱出』のモデルにもなった脱獄事件も実際に起きてます。
なぜ閉鎖された?4つの理由
- コストがかかりすぎた:すべての物資(食料・水・燃料)を船で運ぶ必要があり、運営費は普通の刑務所の約3倍とも。
- 建物の老朽化:潮風によるサビで鉄骨が腐食し、修繕には数百万ドルがかかるとされた。
- 脱獄事件の発生:1962年に3人が脱獄し、”絶対に逃げられない”という評判に傷がついた。
- 時代背景の変化:1960年代のアメリカでは「更生」重視の刑務所運営が求められ、アルカトラズのような見せしめ型は時代遅れに。
その後…先住民占拠事件
1969年、アメリカ先住民の活動家グループがアルカトラズ島を突然占拠。
アメリカ政府が「不要になった連邦用地は先住民に返還可能」と発表していたことを受けて、彼らは「じゃあ、この島を返して」と主張したのです。
当初、政府はあえて強制排除せず、様子見の姿勢でした。
しかし、長期化したことで以下のような問題が発生。
- 水や電力が絶たれる(生活困難に)
- 物資不足、島内での事故・死亡事件
- 支援者の減少とリーダー格の活動家の相次ぐ離脱
ついに1971年6月、連邦保安官が島に突入し、占拠は19か月で終了しました。
その後、アメリカ政府は「インディアン自決法(Indian Self-Determination Act)」など、先住民の権利を尊重する方向へ転換していきます。
現在は観光スポット!見どころも満載
1972年から国立公園局が管理し、一般公開スタートしました。
観光客に人気な理由は次の通りです。
- かつての独房、食堂、監視塔などがそのまま
- 元囚人・元看守によるリアルな音声ガイド
- 映画『ザ・ロック』『アルカトラズからの脱出』のロケ地としても有名
- ちょっと怖い「ナイトツアー」も人気
まとめ:孤島の監獄は国家の権力と葛藤の象徴
アルカトラズ島はただの監獄ではなく、国家が制御しきれない凶悪を”なんとしてでも隔離する”という権力の象徴でした。
その一方で、先住民から土地と権利を奪ったことへの抗議活動の舞台ともなり、アメリカが先住民とどう向き合うかを問われた負の歴史の一端が垣間見える場所です。
サンフランシスコを訪れる際は、そんな奥深い歴史を持つアルカトラズ島にぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
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