過去のこの週、世の中では何が起きていたのでしょうか?
20年前・15年前・10年前・5年前の出来事を振り返ってみます。
日々のニュースと照らし合わせて、過去の出来事がどのように現在につながっているのか見えてくるかもしれません。
2005年(平成17年)6月15日〜6月21日の出来事
【国際】F1米国グランプリ、“たった6台”の決勝レース
2005年6月19日に開催されたF1アメリカGP(インディアナポリス)は、F1史に残る“異常事態”となりました。
レース直前、ミシュランタイヤが高速バンクでの安全性に問題があることが判明し、ミシュラン勢14台はFIAに要請した安全対策(シケイン設置)が拒否されたため、安全性を最優先してレースを棄権しました。結果として、ブリヂストン勢のフェラーリ、ジョーダン、ミナルディのわずか6台だけでレースが行われ、観客からは激しいブーイングとゴミの投げ入れが起きました。
優勝したミハエル・シューマッハにとっても空虚な勝利となり、この事件はF1の安全性、興行力、そしてアメリカにおける信頼の失うという深刻な影響をもたらしました。
この事件は、インディゲート事件と俗称がつくほどレースファンを失望させる出来事でした。
【国際】宇宙帆船「Cosmos 1」、打ち上げ失敗
2005年6月21日、惑星協会が中心となって推進したプロジェクトの太陽帆宇宙船「Cosmos 1」が、ロシアの潜水艦からヴォルナロケットで打ち上げられました。
太陽光(光子)の圧力を利用して推進する「太陽帆船(ソーラーセイル)」として世界初の実用化を目指すも、打ち上げからわずか83秒後に通信が途絶え、ロケットの不具合により大気圏を脱出できずに墜落したと考えられています。
この失敗で太陽帆技術が潰えることはなく、日本のJAXAは2010年に「IKAROS」で世界初の太陽帆航行を成功させ、Planetary Societyもその後「LightSail」プロジェクトを進めて2015年・2019年に実証を成功させました。
2010年(平成22年)6月15日〜6月21日の出来事
【国内】改正貸金業法が全面施行。借金のルールが大きく変わった
2010年6月18日、長らく段階的に進められてきた「改正貸金業法」がついに全面施行され、日本の借金制度が大きく変わりました。
この改正は、当時社会問題化していた多重債務や高金利貸付(いわゆる「グレーゾーン金利」)への対処を目的としていました。
中でも注目されたのが「総量規制」の導入で、これは個人が借りられる無担保ローンの金額を年収の3分の1までに制限するというものです。
さらに、これまで黙認されてきた上限金利の“グレーゾーン”が廃止され、金利は法律で明確に規制されるようになりました。また、貸金業者に対する登録要件や罰則も強化され、業界全体の健全化が進められました。
結果として、過剰融資は抑制され、貸金業者の数も激減。一方で、正規業者から借りられなくなった人がヤミ金に流れるといった新たな課題も生じました。
改正後の効果
- 貸金業者の数は激減
- 自己破産者数は2003年以降減少傾向
- 多重債務問題の沈静化に一定の効果
年度末 | 登録貸金業者数 |
---|---|
2006年(改正前) | 約14,000社 |
2009年(施行直前) | 約6,000社 |
2010年(全面施行) | 約3,800社 |
2015年 | 約2,000社 |
一方での課題
- 正規業者から借りられなくなった人がヤミ金に流れるケース
- 緊急時の小口融資の選択肢が減少
- 中小貸金業者の撤退で「金融空白地域」が拡大
2015年(平成27年)6月15日〜6月21日の出来事
【国際】チャールストン教会銃乱射事件
2015年6月17日、アメリカ南部サウスカロライナ州チャールストンにあるアメリカ初の黒人教会で、白人至上主義を信奉する21歳の男ダイラン・ルーフが聖書勉強会に参加後、銃を乱射し黒人信者9人を殺害する事件が起きました。
死者の中には、牧師であり州上院議員のクレメンタ・C・ピンクニーがいたこともあり大きな衝撃を与えました。
この悲劇を受け、オバマ大統領(当時)は事件後の追悼式で人種差別と銃規制の問題に強く言及し、州議会は長年掲げられていた南軍旗を撤去。また、FBIの身元審査ミスによりルーフが銃を購入できたことが判明し、遺族は政府に訴訟を起こして2021年に8800万ドルの補償で和解しました。
【国内】伏見城の遺構発掘
2015年6月18日、京都市伏見区桃山町の工事現場で、豊臣秀吉が1592(文禄3)年に築造した初代伏見城、通称指月城の遺構が発掘されました。発見されたのは城の中心部西側と推定される石垣と掘割で、長さは南北約36メートルにわたり、当時の堀の輪郭がはっきり確認されました。
これまで指月城は1594年の地震で崩壊し、文献記録が乏しく「幻の城」とも呼ばれていましたが、今回の出土によって実在したことがわかりました。
発掘された石垣は、同じ年代に築かれた聚楽第(じゅらくだい)の遺構と類似した構造をしており、当時の築城技術や工法を知る上で貴重な発見でした。
残念ながら発掘後は埋め戻され、現地にはマンションが建設されましたが、一部が展示されています。
2020年(令和2年)6月15日〜6月21日の出来事
【国際】ヒドロキシクロロキン、コロナ治療薬から撤退へ
マラリアなどの治療薬として知られるヒドロキシクロロキン(HCQ)がCOVID-19の治療に効果がある可能性が指摘され、期待されていました。
2020年6月15日、アメリカ食品医薬品局(FDA)はCOVID-19に対してHCQの効果が科学的に認められないと判断。さらに、心臓への副作用や不整脈のリスクが高いとして、3月に出していた緊急使用許可(EUA)を正式に撤回しました。これにより、米国内の医療機関ではCOVID-19患者への使用が実質的に中止されることになりました。
2020年6月18日にはこの動きに連動し、世界保健機関(WHO)も大規模な国際治験「Solidarity Trial」の中で行っていたHCQの投与を中止することを決定。理由はFDAと同様、効果が確認できず、安全性にも懸念があるためでした。
HCQは、トランプ大統領(当時)が自身での服用を公言したこともあり、米国内外で政治的議論の的にもなっていました。科学的根拠よりも“信念”や“希望”が先行した象徴的な事例ともいえます。
この一連の決定により、ヒドロキシクロロキンはコロナ治療薬としての立場を失い、科学的根拠に基づく治療戦略への移行が加速しました。
【国際】北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破
2020年6月16日、北朝鮮は開城(ケソン)工業団地にあった南北共同連絡事務所を爆破しました。これは、韓国政府が脱北者団体のビラ散布を放置しているとして、北朝鮮側が事前に事務所の閉鎖を予告していたことによるものです。
連絡事務所は、北朝鮮における韓国の事実上の大使館として、南北間の常設の連絡チャンネルを担っていました。
もともと事務所は新型コロナ対応のため韓国側が撤収し無人でしたが、今回の爆破は南北関係の冷却を決定づけ、文在寅政権の融和政策に対する明確な挑発と受け取られました。
【国内】正体不明の気球のような飛行物体が確認される
2020年6月17日早朝、宮城県仙台市や福島県など東北地方各地の上空で、白い風船のような球体に加え、十字またはプロペラ状の構造がぶら下がった未確認飛行物体が目撃されました。仙台市天文台は気球状の物体の存在を認めつつ「観測気球とは異なる」とコメントし、仙台管区気象台も「気象庁のものではなく、正体不明」としています。
SNSでは「UFOでは」「ドローンでは」と憶測が飛び交い、専門家や気象機関も原因究明に難航。この物体は数時間にわたり高空で観察され、成層圏への飛行や大きなサイズから、外国による観測気球や無人偵察機の可能性も指摘されましたが、正式には特定できないまま議論が広がりました。
このような高高度での滞空能力は、通常の民間ドローンでは実現困難であり、専門家は気象観測や軍事偵察などの用途を推測しました。
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