セグウェイのその後 ― 万博が映すモビリティの20年

大阪万博が開幕してから2週間。賛否様々な声が聞こえ、準備や運営上のアクシデントなども報じられていますが、個人的にはせっかく日本で開催されるのだから成功してほしいと願っています。

そんな大阪万博で「空飛ぶクルマ」の展示や試験飛行が話題になっているのを見て、ふとある乗り物を思い出しました。かつて「未来の乗り物」として大きな話題を呼んだ、あの「セグウェイ」です。

「あれって今どうなってるんだろう?」

2005年の愛知万博(愛・地球博)を訪れた方なら、あの会場内で走るセグウェイの姿を覚えているのではないでしょうか。
あれから20年、セグウェイはどうなったのでしょう?


愛知万博で見た「近未来」

セグウェイは、アメリカの発明家ディーン・ケイメン氏によって開発された立ち乗り式の二輪モビリティです。
体重移動だけで操作できる直感的なシステムは、2001年の発表当初、「世界を変える発明」と絶賛されました。

そんなセグウェイが、多くの日本人に初めて身近に感じられたのが、2005年の愛知万博。
広大な会場内で、スタッフの移動や一部パビリオンの展示に活用され、多くの来場者に強烈なインパクトを与えました。

「数年後には、街中を自由に走っているのかも?」
そんな期待を抱いた方もきっと多かったはずです。


なぜセグウェイは広まらなかったのか?

しかし現実は、セグウェイが日常の風景になることはありませんでした。
その理由にはいくつかの壁がありました。

まず最大の障壁は法規制でしょう。
日本を含む多くの国で、セグウェイは「車両」として扱うには分類が難しく、公道走行が原則禁止されました。
私有地や限られた場所でしか使えないとなると、一般普及は難しかったのです。

さらに、

  • 発売当初は100万円近い高額商品だったこと
  • 雨天や悪路に弱いこと
  • サイズが大きく、持ち運びに不便だったこと
    など、生活に密着しにくい要素もありました。

未来的なビジョンに対して、当時のインフラやライフスタイルが追いついていなかったと言えそうですね。


セグウェイは今どうなった?

「じゃあ、セグウェイってもう消えたの?」

──いえ、完全に姿を消したわけではありません。

セグウェイ社は2015年に中国の電動モビリティ企業「ナインボット(Ninebot)」に買収され、2020年には元祖モデル「Segway PT」は生産終了を迎えます。
ですが、「Segway-Ninebot」というブランド名で、電動キックボードやパーソナルモビリティ製品は今も続々と展開されています。

https://jp.segway.com

また、日本でも2023年7月の道路交通法改正により、電動キックボード向けに「特定小型原動機付自転車」区分が新設され、モビリティ環境が大きく変わり始めています。


セグウェイが残したもの

セグウェイ自体は「大ヒット」とはいきませんでした。ですが、

・重心移動による直感操作
・電動モーターを活用した個人移動手段というアイデア

は、その後の電動キックボードや小型EVの開発に大きな影響を与えたのではないでしょうか。


そして大阪万博へ─

愛知万博から20年。技術も社会も大きく変わりました。
大阪万博では、自動運転バスや空飛ぶクルマといった、さらに進化したモビリティが期待されています。

かつてセグウェイに未来を見た私たちは、今度はどんなワクワクする乗り物に出会えるのでしょうか?
20年後、「あの時の万博、すごかったよね」と語りたくなるような体験が待っていると良いですね。

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